論文・書籍のご紹介

ここに書いてあることは、すべて科学的な根拠をもとにしています。

聞こえない子、聞こえにくい子を持つ親のみなさんは、ぜひそうした根拠をご自身で確かめてください。日本には一般向けのいい参考書が少ないのですが、明晴学園は以下のような論文や本をお勧めします。

論文は、一部を除き、著作権の関係で内容を表示できません。興味のある方はインターネットなどを通して入手することができると思います。なお、これは2016年4月時点での情報であり、インターネットのアドレスなどはその後変更されていることもあります。

論文・書籍・発表資料など

論文・書籍・発表資料

種別 論文
タイトル ろう児または難聴児のためのアメリカの言語発達チェックリスト
著者 米国上院BS210委員会
書籍・出典 カリフォルニア州立ろう学校
解説

明晴学園ではギャロ―デット大学で取りまとめられたVCSL、カナダのオンタリオ州で用いられていたアセスメント、明晴学園の独自の評価方法などを用いて、手話の言語発達を見ています。この指標はご家庭で保護者の方が観察する際の参考になるようにと明晴学園で翻訳したものです。この指標は言語発達(手話も音声も含む)を見るものです。

※https://www.cde.ca.gov/sp/ss/dh/sb210langmilestones.aspを許可を得て明晴学園で翻訳したものです。

関連URL https://www.cde.ca.gov/sp/ss/dh/sb210langmilestones.asp
関連ファイル  ろう児または難聴児のためのアメリカの言語発達チェックリスト (訳)明晴学園.pdf
種別 書籍
タイトル 幼児教育のエスノグラフィ  日本文化・社会のなかで育ちゆく子どもたち
著者 林安希子著、ジョセフ・トービン協力
書籍・出典 明石書店 2019
解説

著者(の林安希子)がアメリカの著名な教育研究者ジョセフ・トービン氏とともに、日本の3つの幼稚園・保育園で45人の幼児教育者からの声に耳を傾けたエスノグラフィ研究。教室に入り込んで詳細に行った観察とインタビューを通して、教育の中に隠れている文化に迫る。(明石書店サイトより)

3つの幼稚園・保育園のうち1つが明晴学園幼稚部。

 

関連URL https://www.akashi.co.jp/book/b485267.html
関連ファイル
種別 論文
タイトル 「つながる」ろう教育―コロナ禍の経験から
著者 佐々木倫子
岡 典栄
書籍・出典 『「つながる」ための言語教育 アフターコロナのことばと社会』
杉野 俊子 (著, 監修), 野沢 恵美子 (著, 編集), 田中 富士美 (著, 編集) 2021明石書店
解説

圧倒的な聴者社会のなかで、周りとつながりにくいろう児・者(特に聴者の家庭で一人だけが聴こえない場合)が家族の中で孤立するディナーテーブル症候群について紹介した上で、新型コロナの影響で学校が休校していた間の明晴学園がどのようにして子どもたちとつながっていたか、その取り組みについて書いてあります。教員と子どもたち、また、子どもたち同士がどのようにつながっていたか、見てください。

 

関連URL https://www.akashi.co.jp/book/b589433.html
関連ファイル
種別 論文
タイトル 日本語教育、日本語学の社会貢献 ―ろう児に対する日本語教育を例に―
著者 一橋大学国際教育交流センター 庵 功雄著
書籍・出典 台湾東海大学『多元文化交流』第13號(2021年6月)<特集>教育関係者の社会貢献
解説

この論文は日本語教育、日本語学が果たしうる社会貢献の可能性の1つとして、ろう児に対する日本語教育のために外国人に対する情報提供の方策の検討から出発した「やさしい日本語」が使えるのではないか、ということを書いたものです。

本論文ではろう児が習得すべき日本語の技能は、読む、書くの2技能だけであり、聞く、話すの2技能は不要であると述べています。なぜなら、日本語文が読めれば、音声認識ソフトやノートテーカーの助けを借りて書記日本語になったものが使えるからです。

また、「音声なしでも(対象とするのが書記言語であれば)習得可能」ということは、日本人が歴史的に行ってきた「漢文訓読」がそれを証明しています。

明晴学園で行われてきた日本語教育についても書かれていますので、ぜひご一読ください。

関連URL http://www12.plala.or.jp/isaoiori/rouzi_toukai.pdf
関連ファイル  rouzi_toukai.pdf
種別 記事
タイトル 『人工内耳をしても手話が必要なわけ』
著者
書籍・出典 The Conversation誌
解説

『人工内耳をしても手話が必要なわけ』  (動画字幕付き)

The Conversation誌に掲載された、アメリカの3人の研究者による『人工内耳をしても手話が必要なわけ』というの記事を紹介します。The Conversation誌は、2011年にオーストラリアで始まった研究者と編集者がタッグを組んだニュースメディアで、信頼性が高いとして知られる雑誌です。

2歳児とお母さんがイギリス手話で会話をする可愛い動画(日本語字幕付き)もあります。ぜひ、ご覧ください。

 

※本記事の和訳と字幕は明晴学園がConversation誌および動画の原作者(Nick Beese)の許可を得て作成しています。

※文中のリンクから根拠になっている論文やサイトを見ることができます

※ブラウザで「英語のサイトを常に日本語に翻訳する」に設定すると日本語で読むことができます

関連URL https://theconversation.com/amp/why-sign-language-is-vital-for-all-deaf-babies-regardless-of-cochlear-implant-plans-142956?__twitter_impression=true&s=06
関連ファイル  Conversation 論文(和訳).pdf
種別 情報提供パンフレット等
タイトル 目で見る言葉と目で見る学習、聞こえなくても大丈夫~ことばを育てる~
著者
書籍・出典 https://vl2.gallaudet.edu/about/  BBED訳
解説

目で見る言葉と目で見る学習米国にあるろう者のための教育機関ギャローデット大学では、ろう学校や研究センターを併設して聞こえない・聞こえにくい子を手話で教育する方法を研究し実践しています。その研究成果は「手話をL1(第一言語)とするために必要な12の研究成果」として、誰にでも読めるようにわかりやすく紹介されています。BBEDでは、ギャローデット大学の許可を得て、家族が果たす役割についてまとめた「Research Brief #9」を翻訳しました。レポートの中で登場するASL(American sign language)をJ SL(日本手話/ Japanesesign language)に置き換えて読んでみてください。聞こえない・聞こえにくいお子さんに確かな第一言語を獲得させるために家族は何をすればいいのか、具体的な方法も紹介されています。ぜひ参考にしてください。
VISUAL LANGUAGE & VISUAL LEARNING OVERVIEW OF RESEARCH BRIEFS #9 原文


《重要な研究成果》
アメリカ手話(ASL)の習得に家族が果たす役割について
●ろう児の言語獲得には、親の積極的なかかわりがとても大切です。
●音声か手話かに関わらず、発達の初期に言語を身につけることは、人と関わる力・ものごとを認識する力・読み書きの力の発達を促します。
●アメリカ手話(ASL)のような、自然言語とみなされる手話言語は、世界各地のろうコミュニティの中で育まれてきたものです。
●ろう児の手話の発達は、音声言語の発達とよく似ています。違う点よりも似ている点のほうがはるかに多いのです。
●言語学習には、臨界期があります。ASLを後から(5歳以降に)学んだ子どもは、大人になっても流暢さに欠けますし、間違いも多いままになります。
●ASLの学習が、音声言語の発達にマイナスの影響を与えるという考えに学術的な根拠はありません。
●ろう児に合った言語学習を進めるためは、親への情報提供が不可欠です。

https://vl2.gallaudet.edu/research/research-briefs/english/
https://vl2.gallaudet.edu/files/9013/9216/6290/research-brief-9-family-involvement-in-asl-acquisition.pdf

関連URL https://vl2.gallaudet.edu/research/research-briefs/english/
関連ファイル  RESEARCH_BRIEFS_9.pdf
種別 論文
タイトル 『Ensuring language acquisition for deaf children: What linguists can do』(ろう児の言語獲得を保障する ~言語学者ができること~)/Tom Humphries (トム・ハンフリーズ) ほかの共著
著者
書籍・出典 「Language」アメリカ言語学会学術誌「ランゲージ」誌2014年6月号の論文
解説

アメリカの言語学者らが、最新の研究結果をもとに、人工内耳をしても手話が必要であると述べています。アメリカ言語学会が刊行する学術誌「ランゲージ」に掲載された総合的な論文で、最新の研究成果を網羅しています。英文は表示できませんが、著者の了解を得て明晴学園が日本語に翻訳したものがあります。

 著者の了解を得て明晴学園が公式サイト内に掲載しています。

「Language」アメリカ言語学会学術誌「ランゲージ」誌2014年6月号の論文(和訳)

関連URL https://www.researchgate.net/publication/263351044_Ensuring_language_acquisition_for_deaf_children_What_linguists_can_do
関連ファイル  language_V90_v2_5.pdf
種別 論文
タイトル 『Spoken English Language Development in Native Signing Children With Cochlear Implants』(人工内耳をしたネイティブ・サイナー児の音声英語発達)/Kathryn Davidson(キャスリン・デビッドソン)ほかの共著
著者
書籍・出典 「Journal of Deaf Studies and Deaf Education」誌2013年10月号論文
解説

人工内耳をしたろう児がどのように音声語を獲得しているかを、「人工内耳をしたネイティブ・サイナー(両親もろう者のろう児)」について調査した研究。手話を身につけたろう児は音声言語の学習も進むことを明らかにしています。人工内耳には手話が必要なだけでなく、その手話は「自然手話」であることがポイントです。

著者のデビッドソンらは、人工内耳をしたろう児の手話と音声語の習得を専門的に研究している認知言語学者で、日本にはこれだけの専門性をもつ研究者はいないようです。

PDFファイルは関連URLに記載したサイトから入手できます。

関連URL http://jdsde.oxfordjournals.org/content/early/2013/10/16/deafed.ent045.full.pdf+html
関連ファイル
種別 論文
タイトル 『Should All Children Learn Sign Language?』(ろう児はみな手話を学ぶべきか?) /Nancy K. Mellon(ナンシー・メロンほかの共著)
著者
書籍・出典 「Pediatrics」 Vol 136, No. 1, July 2015(米国小児科学会誌2015年7月号)
解説

耳鼻科学、言語学、教育学などの専門家が小児科学会誌のためにまとめた論文。人工内耳をするかしないかにかかわらずろう児には手話が必要、あるいは有益と論じています。「ランゲージ」誌論文と重複しますが、より広い視点からの考察が加えられています。

関連URLに記載したサイトで参照できます。

関連URL http://pediatrics.aappublications.org/content/136/1/170
関連ファイル
種別 論文
タイトル 『バイリンガルろう教育実現のための一提案 手話単語つきスピーチからトランスランゲージングへ』/佐々木倫子著
著者
書籍・出典 「言語教育研究」2015年 第5巻
解説

バイリンガル教育の専門家が、聞こえない子(ろう児)の言語獲得には手話と日本語の二言語習得、バイリンガリズムが基本であることを述べ、さらに二つの言語をひとつのシステムとしてとらえる「トランスランゲージング」という最新の概念について論じています。

著者の了解を得て明晴学園がサイト内に掲載しています。

PDF『言語教育研究』2015年 第5巻

関連URL
関連ファイル  trancelanguage.pdf