2022年5月の記事一覧

どきどきの「どきん」2022年版

 

 

 

今年も小3の、どきん発表会の時期がやってきました。

 

谷川俊太郎さんの詩「どきん」を暗記して、

みんなの前でホワイトボードに書いて発表します。

ルールはこれまでと同じ、「後ろを振り向いたら終わり」です。

 

手話が第一言語のろう児にとって、学習中の日本語で書かれた文章は、

分厚い手袋越しに物を触るような、捉えきれないもどかしさがあります。

抽象度の高い詩ならなおさらです。

 

そんな時、やはり助けとなってくれるのは手話です。

詩の理解を深めるため、まずは元の詩のリズムやオノマトペ、

最後の一文に向かって加速する高揚感を、

教員が見事に手話に翻訳した、手話ポエム動画を視聴します。

 

子どもたちは一緒に手話ポエムを表出し、詩を楽しみます。

それから徐々に、手話版「どきん」を手立てにして、

日本語で書かれた元の詩と仲良くなっていきます。

 

今日は一行、明日は二行と、少しずつ書いて覚えてを続けて、

発表会の前日に、ようやく全員が十行覚えて書けるようになりました。

 

発表会当日、ギャラリーはこれまでで最も多い小学部全員!

小1・2の子どもたちは「これを全部覚えたんだ!」と羨望の眼差しで小3の背中を見つめ、

小4〜6の子どもたちは「懐かしいね」「わたし、間違って泣いちゃったんだよね」

なんて思い出話をしながら応援します。

 

「そこ、違う!」

「〇〇、がんばれ!」

「できてるから大丈夫、振り向いていいよ!」

 

背中を向けている小3にはわからないと知ってはいても、

それぞれが一生懸命、手話で話しかけます。

 

小3全員がようやく振り向き、小4が教科書片手にチェックします。

小4が首を傾げたり、書かれた詩を指で辿る姿を、みんなで固唾を飲んで見守ります。

両手をギュッと握りしめ、思わず祈るような姿の子もいます。

果たして結果は?