論文のご紹介

推薦論文

タイトル 『Ensuring language acquisition for deaf children: What linguists can do』(ろう児の言語獲得を保障する ~言語学者ができること~)/Tom Humphries (トム・ハンフリーズ) ほかの共著
書籍・出典 「Language」アメリカ言語学会学術誌「ランゲージ」誌2014年6月号の論文
解説

アメリカの言語学者らが、最新の研究結果をもとに、人工内耳をしても手話が必要であると述べています。アメリカ言語学会が刊行する学術誌「ランゲージ」に掲載された総合的な論文で、最新の研究成果を網羅しています。英文は表示できませんが、著者の了解を得て明晴学園が日本語に翻訳したものがあります。

 著者の了解を得て明晴学園が公式サイト内に掲載しています。

「Language」アメリカ言語学会学術誌「ランゲージ」誌2014年6月号の論文(和訳)

関連URL https://www.meiseigakuen.ed.jp/top/language/index.html
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タイトル 『Spoken English Language Development in Native Signing Children With Cochlear Implants』(人工内耳をしたネイティブ・サイナー児の音声英語発達)/Kathryn Davidson(キャスリン・デビッドソン)ほかの共著
書籍・出典 「Journal of Deaf Studies and Deaf Education」誌2013年10月号論文
解説

人工内耳をしたろう児がどのように音声語を獲得しているかを、「人工内耳をしたネイティブ・サイナー(両親もろう者のろう児)」について調査した研究。手話を身につけたろう児は音声言語の学習も進むことを明らかにしています。人工内耳には手話が必要なだけでなく、その手話は「自然手話」であることがポイントです。

著者のデビッドソンらは、人工内耳をしたろう児の手話と音声語の習得を専門的に研究している認知言語学者で、日本にはこれだけの専門性をもつ研究者はいないようです。

PDFファイルは関連URLに記載したサイトから入手できます。

関連URL http://jdsde.oxfordjournals.org/content/early/2013/10/16/deafed.ent045.full.pdf+html
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タイトル 『Should All Children Learn Sign Language?』(ろう児はみな手話を学ぶべきか?) /Nancy K. Mellon(ナンシー・メロンほかの共著)
書籍・出典 「Pediatrics」 Vol 136, No. 1, July 2015(米国小児科学会誌2015年7月号)
解説

耳鼻科学、言語学、教育学などの専門家が小児科学会誌のためにまとめた論文。人工内耳をするかしないかにかかわらずろう児には手話が必要、あるいは有益と論じています。「ランゲージ」誌論文と重複しますが、より広い視点からの考察が加えられています。

関連URLに記載したサイトで参照できます。

関連URL http://pediatrics.aappublications.org/content/136/1/170
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タイトル 『バイリンガルろう教育実現のための一提案 手話単語つきスピーチからトランスランゲージングへ』/佐々木倫子著
書籍・出典 「言語教育研究」2015年 第5巻
解説

バイリンガル教育の専門家が、聞こえない子(ろう児)の言語獲得には手話と日本語の二言語習得、バイリンガリズムが基本であることを述べ、さらに二つの言語をひとつのシステムとしてとらえる「トランスランゲージング」という最新の概念について論じています。

著者の了解を得て明晴学園がサイト内に掲載しています。

PDF『言語教育研究』2015年 第5巻

関連URL
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タイトル 『Principles and Guidelines for Early Intervention After Confirmation That a Child Is Deaf or Hard of Hearing』(ろうまたは難聴の診断後の早期介入における原則と指針)/Christine Yoshinaga-Itano(クリスティン・ヨシナガ=イタノ)
書籍・出典 Journal of Deaf Studies and Deaf Education」誌2014年論文 (2014)19 (2): 143-175.doi: 10.1093/deafed/ent043
解説

聞こえない子、聞こえにくい子への言語発達を含む総合的な支援は、アメリカのコロラド州が最も進んだ地域の一つとされています。そこで中心となっているコロラド大学のクリスティン・ヨシナガ=イタノ教授(音声言語科学)は、人工内耳を活用した言語獲得の研究についても第一人者といえるでしょう。教授が言語聴覚の専門家とともにまとめたガイドラインは、聞こえない、聞こえにくい乳幼児は3歳までの早期支援が重要で、アメリカ手話の活用が基盤のひとつとなることをさまざまな形で指摘しています。

この論文は関連URLのサイトで参照することができます。

関連URL http://jdsde.oxfordjournals.org/content/19/2/143.full
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タイトル 手話の理解も左脳優位 ~脳での文章理解は手話と音声で完全に同じ~
書籍・出典 "Sign and speech: Amodal commonality in left hemisphere dominance for comprehension of sentences" 「手話と音声:文章理解の左脳優位性における言語様式によらない共通性」酒井 邦嘉・辰野 嘉則・鈴木 慶・木村 晴美・市田 泰弘
解説

JST(理事長:沖村憲樹)の研究チームは、機能的磁気共鳴映像法(fMRI)の実験から、日本手話(*1)による文章理解が音声と同じ左脳優位であることを初めて直接的に証明した。

本成果は、戦略的創造研究推進事業(チーム型)の研究領域「脳の機能発達と学習メカニズムの解明」の研究代表者の東京大学大学院総合文化研究科 助教授 酒井 邦嘉と、同研究科大学院生 辰野 嘉則および鈴木 慶、国立身体障害者リハビリテーションセンター学院 教官 木村 晴美および市田 泰弘によるもの。

アメリカ手話の研究では、左脳の損傷で音声言語と同様に手話失語が起こることが明らかとなっている。一方、最近のfMRIによる研究では、手話を見るときに右脳の活性化が特に高まることが報告されており、手話失語の知見と矛盾するため、激しい論争が行われてきた。

今回、ろう者・コーダ(日本手話と日本語のバイリンガル)・聴者の3グループを対象として、文章理解における脳活動をfMRIにより測定し比較することによって、日本手話の場合も日本語と同様に左脳の言語野が活性化することが明らかになった。

この結果により、手話と音声言語の左脳優位性に関する論争に最終的な決着をつけることができ、脳における言語処理の普遍性が示唆された。ろう者が手話を母語として獲得することの必要性を科学的に裏付けた本研究成果は、ろう教育や医療現場の改善へとつながることが期待される。なお、本研究成果は、平成17年2月23日発行のイギリスのブレイン誌(Brain)オンライン版に発表された。

(*1) 日本手話とは、日本のろう者が母語として獲得している言語であり、日本語の語順に従って手話単語を並べた「日本語対応手話(シムコム)」とは全く異なる言葉である。

 

関連URL http://mind.c.u-tokyo.ac.jp/Sakai_Lab_files/NewsJ/JST_Report_2005.htm
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