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手話でまなぶ「どきん」
手話と日本語を行ったり来たりしながら、詩の世界を旅する子どもたち。
前回は谷川俊太郎さんの詩「どきん」を、
今回は同じ題材を使った手話の授業です。
教材は、先生が「どきん」を朗読している手話動画。
それを見て、子どもたちは手話で詩を理解し、手話による詩の朗読を楽しみます。
そうして、詩というものへの理解を深めていくのです。
授業の最後には、子どもたち1人ひとりが詩を朗読し、
それを先生が講評します。
「つるつるのときは、この手の形でいいけど、「おしてみようかなあ」のときの手の形はこっちだよ」
「ひたひた歩いているところの表現が少し単調だね。歩きはじめは慎重な感じで」
「だれかがふりむくところは、少し時間をおいて、ためが必要だね」
手話語彙の正確さだけではなく、朗読時のメリハリだって大事です。
また、「つるつる」していたり「ゆらゆら」していたりする
「何か」の様態を表すための手の形や動き、
顔の部位を動かすことで表れる文法表現のエラーなど、
先生は細かいところまで見逃さず、丁寧にコメントしていきます。
はにかんだり、緊張したり、
逆に情感たっぷりに朗読しすぎて笑いを誘ってしまうなど、
子どもたちの反応はそれぞれですが、
普段のおしゃべりの手話とはちょっと違う詩の朗読に、
表現することの喜びを感じているようでした。
ボディペインティングの日
先週末の幼稚部さんは、ボディペインティングで遊びました。
今日までに、手を使ったデフアートや、絵の具の混ぜ合わせ遊び、
水遊びに泥遊びをしてきたので、その集大成というわけです。
絵の具の入ったバケツに手を入れて、先生やお友だちにペタペタ手形をつけていきます。
追いかけられてはしゃぐ子、バケツに入れた手をじっと見ている子、
先生にどんどんおぶさって、団子みたいになっている子たち、みんな楽しそうです。
「ねえねえ見て」と黄色い手と青い手を擦り合わせてぱっと広げ、
「緑になったよ!」と教えてくれる子もいました。
いつのまにか顔まで絵の具だらけの子どもたち、
最後はブルーシートに水を張り、自家製ウォータースライダーでフィニッシュ。
この遊びが、まもなくはじまるプールにもつながっていくわけですが、
先生たちの思惑など何処吹く風、子どもたちは、ただただひたすらに遊ぶだけです。
サッカー交流
不思議なご縁で、ミャンマーのろう学校でサッカーを教えている
日本人コーチの米山さんが見学にいらっしゃいました。
昼休みはもちろんサッカー交流です。
小さい子から大きい子まで入り混じってチームを組み、
2つのボールを使ってゲームをします。
手話ができないコーチと子どもたちの間で、コーチの意図を汲み、
子どもたちに指示を伝える役割の子が自然と出てきて、
米山さんも身体を使って、徐々に子どもたちと意思疎通を図っていきます。
最後は勝敗関係なく、笑顔とハイタッチで終了しました。
屋上をキャンバスに
4月、図工の授業の様子です。
少し前まで幼稚部さんだった小1には、まずはのびのびと絵を描いてもらおうと、
はみ出すための枠もない、大きな大きなキャンバスを用意しました。
普段は立ち入ることのできない屋上に、子どもたちは大はしゃぎです。
大好きな電車やキャラクターの絵を描いたり、描いた絵でケンケンパに興じたり。
一緒にひとつの絵を完成させた女子2人は、創作意欲が止まらないようで、
「あっちにも、なんかかわいいもの描こうよ!」「いいね!」と、
キャンバスの上を飛び回っていました。
海外からのお客さま
ろう者・聴者を問わず、海外からもたくさんのゲストが明晴学園を訪れます。
そういった状況に慣れっこの子どもたちにとって、
廊下から知らない人たちに授業の様子を見られたり、
交流したりすることは、そんなに緊張することではないようです。
先週はフランスのろう協の団体や、ギャローデット大学の
評議員議長もいらして、見学や交流を楽しまれていました。
動画のゲストはアメリカ人のレスリーさん。
レスリーさんはASL(アメリカ手話)指導者として、大学や専門機関等で
ASL手話教師や通訳者養成に長年携わってきた、とても有名な方です。
9年ぶりに訪れた明晴学園が、学校として着実に成長していることや、
子どもたちの数が増えていることを、とても喜んでくれました。
中学部は3年に1回、海外研修旅行に行きます。
教職員も、発表のために海外を訪れることがあります。
そんなとき、かつて明晴を訪れたゲストと偶然再会したり、
現地で力を貸していただくこともあるのです。
手話は世界共通語ではありませんが、
「ろう者」と「手話」でつながる世界は、広くてとても豊かです。
4月の中学部理科
ひと月ほど前の、中学部理科の様子です。
理科の授業には手話通訳がついています。
中3はタマネギの根の先端を使って、細胞分裂の様子を調べています。
どうやら細胞分裂中の染色体を発見できたようです。
中1は、前回の授業で顕微鏡の基本操作とプレパラートの
作り方を学んだので、今日は水中の生物を観察します。
駒込ピペットで水鉢の水を吸い上げて、捜索開始。
見つけた!と思ったら空気の粒だったり、
植物の欠片だったりと、最初は苦戦していました。
徐々に操作に慣れてきた生徒が、ミジンコの仲間を発見し、
「心臓がドクドク動いてる!」と同級生に見せてあげると、
同級生も「本当だ!」と感心しきり。
参考のために、顕微鏡の倍率の確認をしています。
別の生徒が「先生、ぼくも細長いもの見つけた!」と先生を呼んだのですが、
カバーガラスの境目だとわかり、ちょっと照れくさそう。
先生と、思わず通訳さんも笑ってしまいました。
どきどきの「どきん」
先週の小3日本語、谷川俊太郎さんの詩「どきん」の勉強中です。
全編ひらがな、オノマトペが満載の「どきん」に、子どもたちは大苦戦。
そんなとき、助けになるのが手話版「どきん」です。
子どもたちは日本語の授業と平行して、手話の授業でも「どきん」を学んでいます。
手話に翻訳した「どきん」の動画教材を使って、詩の世界を自由に感じ、楽しみます。
そして手話の授業で学んだことを手だてに、原文の「どきん」を日本語として学びます。
先生:ここ、日本語では「もすこし」って書いてあるけど、手話の先生は/少し/って言ってた?
児童A:言ってなかった!
児童B:/もっと(更に)/って言ってたよ!
こんな風にして手話と日本語を行ったり来たりしながら、
子どもたちは詩の世界を旅しています。
明日は授業参観日、「どきん」の発表会です。
今日覚えたところまでを、ホワイトボートに書いて諳んじます。
今日のテストで後半部分を間違えた子たちに、
明日の発表は前半だけにする?と先生が聞くと、
「ううん、全部発表したい。がんばる!」
明日に向けて気合い十分です。
めでたいシリーズ
今年度の小学部の目標です。
「たしかめよう、これまで歩んだ道のりを」
「かんがえよう、めざすゴールはどこにある?」
「かくじつに、一歩一歩をいざ進め」
3つとも「かめ」にかかっています。
昨年度の目標は「つるのおんがえし」でした。
小6からは「松」もいいんじゃないかという意見も出たようです。
来年度の目標に採用されるかもしれません。
いずれにせよ、めでたい感じで今年度もがんばります。
種や苗を植え、「ひとり」について考える朝
昨日の小学部の、朝の様子です。
小1・2は、前日にホームセンターに行き、
自分たちで選んだ野菜の苗を植えています。
隣の教室では小3・4が理科の授業。
ホウセンカとヒマワリの種の違いについて勉強しています。
先生が、ホウセンカの種ははじけるんだよと説明すると、
大きな花だと爆発して大変だ!顔に飛んできちゃう!
などと冗談を言い合っています。
紫色のヒマワリの種を見て、絵の具で塗ったんじゃない?
紫色のヒマワリになるのかな?と興味津々。
みんなで校庭に植えました。どんな花が咲くのでしょう。
小5は日本語の授業で詩の暗唱中。
「ひとり」ってどんなイメージ?と先生が問いかけると、
「さみしい感じ」とだれかが答えます。
お母さんが弟の世話で忙しくなって、「ひとり」で寝るとき泣いちゃった。
ぼくはお兄ちゃんがいるけど、いじわるされるから「ひとり」がいいな。
弟とケンカになったとき、わたしだけ怒られるんだよ。
妹に洋服のコーディネートを真似されるから「ひとり」がいい。
「ひとり」だとおやつを独り占めできるよ。
詩を書いて覚えるはずが、ついつい兄弟姉妹の
あるある話で盛り上がってしまいました。
おべんとうの時間
入学式から2日後、幼稚部さんのおべんとうの時間です。
お弁当包みのキャラクターの話や、
好きなおかず、おにぎりの具の話など、
あちらこちらでおしゃべりに花を咲かせています。
苦手なトマトを食べることができた子に、
先生が即興でお祝い手話リズムを作ると、
ぼくも食べられたよ!おめでとう!
ぼくとあの子のお弁当はバナナがあっておんなじだ!
わたしとあの子もおなじだよ!
と、子どもたちも次々に即興手話リズムを披露していきます。
先輩たちの手話リズムを見て対抗意識を燃やしたのか、
わたしだってピーマン食べられるよ!肉詰めならね!
と主張する姿は、とても入学2日目とは思えませんでした。